技術用語集

 ・架橋加水分解 ・ガラス転移点・融点 ・緩衝材衝撃緩衝特性の調査方法共振・共振倍率 ・ゲル  ・高分子材料・固有振動数 ・固有振動数と防振効果 ・クロロプレンゴム

架橋

一般には高分子をつなげてネットワークを作ることを言います。
架橋を起こす反応としては二重結合などに対する付加反応、水やアルコールが脱離する縮合反応などがあります。架橋の度合いが上がると一般に高分子は硬くなり、溶媒に溶解しにくくなります。
柔らかすぎて扱いにくい天然ゴムに硫黄を加えて架橋すると、硬さが増して耐久性が上がることが1839年、チャールズ・グッドイヤーによって発見され、これが近代的なゴム工業の始まりとなりました。硫黄によるゴムの架橋を特に加硫と呼びます。

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加水分解

出発物質と水の反応で分解した生成物が得られる反応であり、たとえば
エステル+水→アルコール+カルボン酸
アミド+水→アミン+カルボン酸
など様々な種類の反応が含まれます。
生体内でもタンパク質のアミノ酸への分解などは酵素の存在下に起こる加水分解です。
有機ポリマーは加水分解によって分解することも多く、たとえばポリウレタンは比較的加水分解に弱いとされていますが、これに比べるとシリコーンポリマーは加水分解に対してかなり抵抗力があるとされています。

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ガラス転移点・融点

融点とは固体状態から液体に変化する温度であり、多くの物質では液体状態から固体に変化する凝固点と一致します。
一方、ガラス転移点は無機ガラスやプラスチック、ゴムなどの高分子で見られるものです。
液体状態の物質の温度を下げていくと、融点以下でも全体がきれいな結晶にならないまま液体の動きが固まることがあり、そうなる温度をガラス転移点(Tg)といいます。
高分子のガラス転移点は、自由体積が増加してミクロブラウン運動が始まる温度と定義されています。ガラス転移点以下の温度ではプラスチックやガラスはもろくなりますし、弾性率や誘電率などの物性もガラス転移点の前後で大きく変化します。

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緩衝材衝撃緩衝特性の調査方法

一般的な落下衝撃試験を下図に示します。
図のように硬い床に緩衝材料を設置し、重りを垂直に落下させます。
重りには、加速度ピックアップと呼ばれるセンサーを付け、衝突した瞬間からの加速度(衝撃力)の大きさを計測します。
また変位計を床面に設置し、重りの位置を検出します。
変位計には直接重りに取り付け測定を行うタイプもあります。
測定は重りが落下し、緩衝材にぶつかった瞬間の位置を基準とし、重りが緩衝材に潜り込んだ距離(変位)または時間とその時重りに掛かっている衝撃力(加速度)を同時に測定します。

落下衝撃試験

下図に、重りが緩衝材にぶつかってからの衝撃力(加速度)の時間による変化のデータ例を示します。

衝撃試験データ

同様に、衝撃力(加速度)と緩衝材への潜り込み量(変位)の関係を下図に示します。

衝撃力一変位線図

緩衝材に衝突(A点)した重りは緩衝材に潜り込みます(A→B→C)。 この時C点で緩衝材中に最大に沈み込み、その後C→D→Aの経路で緩衝材に押し戻され、A点から再び空中に放り出されます。 また、図のB点が最大衝撃力を受ける位置です。 この図で(Wa+Wb)は、衝突する物体の衝突時に持っているエネルギーを表します。 Waは、緩衝材の内部で熱エネルギーに変わる量です。 衝突時に物体が持っていたエネルギーの内この分が、物体が衝突してから緩衝材に潜り込み、再び空中に放り出される間に失われます。 Wbは、再び物体に戻されるエネルギーで、このエネルギーの分だけ物体が跳ね返ります。 従って、Waの割合が大きい緩衝材は衝突物が跳ね返らず、Wbが大きい緩衝材はよく跳ね返ります。 ここで注意が必要なのは、物体が緩衝材に衝突した際に受ける最大衝撃力と、物体がどのくらい跳ね返るかは別の特性になることです。 最大衝撃力を小さくするためには柔らかな材料で、なるべく変位を大きくとるのが効果的ですが、物体がどのくらい跳ね返るかはその材料が持っている硬さとは別の特性になります。 一般的に跳ね返りの小さな材料は最大衝撃力も小さいと思われがちですが、あまり跳ね返りを小さくすると最大衝撃力を抑えるには逆効果となります。 またスポーツシューズの用途では、あまり反発を小さくするとキックするエネルギーが失われてしまい、スピードや跳躍力を生かすことができません。

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共振・共振倍率

共振とは、外部から強制的に加わる振動の大きさが一定で振動数を変化させたとき、振動系(防振材と防振材の上に載せた重りで構成されたシステム)の固有振動数(用語集「固有振動数」参照)の近くで振幅が急増する現象であり、防振材の共振時の伝達率を共振倍率τといいます。

τ : 伝達率
a0 : 基礎の強制変位(または速度、加速度)
a : 機械の変位(または速度、加速度)
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ゲル

一般に高分子が架橋してネットワークを作り、網目構造になったものをゲルといいます。
ゲルは流動性がなくなり、溶媒に溶解せず膨潤するだけです。架橋は共有結合、配位結合、水素結合などいくつかの形式があります。
網目構造になったゲルが水や有機溶媒を含んだ状態もゲルといい、それぞれヒドロゲル、オルガノゲルと呼びます。エアロゲル(またはキセロゲル)は水などの分散媒を乾燥させて作った多孔質の軽い材料で、食品としては寒天、豆腐、こんにゃく、ゼリー(jelly)なども水を含んだゲルの例です。
ゲル(gel)という言葉はラテン語のgelare(凍る、凍らせる)に由来します。
固まっているゲルに対して、流動性のある溶液の状態をゾル(sol、英語ではソル)といい、たとえば金属アルコキシドのような前駆体から溶液中でセラミックを合成する方法をゾルゲル法といいます。
1970年代に高吸水性高分子が発明されて、紙おむつなどの製品が出てきたことでヒドロゲルに対する注目が高まりました。また、1978年、田中豊一によってゲルの相転移現象が発見されたことで高分子ゲルの研究は大きく進展しました。
特にシリコーンのポリマーでは、シリコーンオイルが架橋したものをエラストマーと呼び、エラストマーに架橋していないシリコーンオイルが含まれていて柔らかくなった状態のものをゲルと呼ぶことがあります。シリコーンゲルは衝撃や振動吸収において優れた特性を示します。

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高分子材料

共有結合で長くつながった分子鎖からなる物質です。
特に炭素は炭素同士がつながる性質が強く(カーテネーション)、ポリエチレンなど多様な高分子が作られています。ほとんどの高分子は主に炭素や水素原子からなり、炭素以外に骨格になるのは酸素、窒素、ケイ素原子など。
生体の高分子としてはタンパク質、核酸、セルロースなどがあり、構造材や遺伝情報の担体、触媒など重要な機能をになっています。
高分子は古くから利用されていますが、明確な高分子の概念は1920年代になってシュタウディンガーによって提唱されました。
単分子がつながって高分子になる反応を重合反応といい、付加重合、縮合重合、開環重合などの様式があります。 合成高分子には分子量分布があり、粘度や熱的特性は低分子とは大きく異なります。

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固有振動数

固有振動数f0はその振動系(防振材と防振材の上に載せた重りで構成されたシステム)に固有の値であり、防振材のバネ定数k及び防振材上の質量mにより決定されます。

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固有振動数と防振効果

基礎の振動数fと固有振動数f0の比f/f0を振動数比といいますが、防振効果を得る為には、
この値 以上とする必要があり、またこの値が大きいほど振動伝達率が低く、防振効果が優れたものとなります。
このことから、固有振動数 を低くすることが重要となりますが、f0は防振材のバネ定数と対象となる装置の重量の比から決まります。
従って装置重量に見合ったバネ定数の防振材を使用することが重要となるのです。

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クロロプレンゴム

クロロプレンゴム

クロロプレンゴムは、クロロプレン(CH2=C(Cl)-CH=CH2)の重合によって得られる合成ゴムです。略称CR、デュポン社の商品名ネオプレンも良く知られています。
1930年にアメリカ・デュポン社のカロザースが開発した非常に歴史のあるゴムです。カロザースはシュタウディンガ―の高分子説を合成反応の側から実証するために1928年から高分子量体の合成を試みていましたが、上司のボルトンのアドバイスもあり、アセチレンを二量化したビニルアセチレンに塩酸を付加したクロロプレンの付加重合に成功し、1931年には工業化されました。
クロロプレンゴムは、耐候性、耐オゾン性、耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れており、バランスのとれた性質から広く利用されています。