技術用語集

体積抵抗率 ・ダッシュポット ・ダイラタンシー ・チキソトロピー ・稠度(ちょう度) ・低分子シロキサン ・伝達率(dB) ・透磁率 ・伝導伝熱
対流伝熱電磁波電磁波が生活に与える影響 ・電磁波の影響を防ぐ方法 ・電磁波防護材の選定方法 ・伝導率=a/a0 ・天然ゴム

体積抵抗率

体積抵抗率は、単位体積あたりの電気抵抗値のことをいいます。つまり、図Cに示すように、1m3の立方体の互いに向かい合う2面間の抵抗値のことで、単位は(Ω・m)で表されます。その他に(Ω・cm)を使うこともありますが、これは1m3ではなく1cm3の立方体での抵抗値を表しますので1Ω・m =100Ω・cmとなります。
材料全体の抵抗値は体積抵抗率に長さを掛けて断面積で割ると求められます。体積抵抗率は物質固有の値 (物性値) ですので、同じ寸法で比較した場合には体積抵抗率の大きな物質が抵抗値も大きいということになります。つまり、絶縁材料としては体積抵抗率の大きいものが望まれます。
抵抗率の大小で絶縁体、半導体、導体と分けることができます。数値が大きな材料から

絶縁体>半導体>導体

となります。
体積抵抗率は物質固有の値ではありますが、温度によって変化します。導体である金属の体積抵抗率は、温度の上昇と共に大きくなりますが、半導体や絶縁体は逆に温度の増加に伴い小さくなる傾向があります(図2)。

ページの先頭へ

ダッシュポット

液体が入った容器にピストンをつけたような機構で、急激に動かそうとすると大きな力が必要ですが、ゆっくり動かすのには小さな力でよく、力を除いてもバネのように戻ったりはしません。
例えば、ドアの上についている油圧式のドアクローザーがダッシュポットで、音を立てずにゆっくりとドアを閉めてくれます。このようにダッシュポットは身近な製品の衝撃吸収やダンパーにも多用されています。
粘弾性のモデルとしては、バネ要素とダッシュポット要素を直列につないだマクスウェルモデル、並列につないだフォークトモデル(またはケルビン・フォークトモデル)があり、前者が応力緩和、後者がクリープ現象に対応します。

ダッシュポット

ページの先頭へ

ダイラタンシー

水と片栗粉(またはコーンスターチ)を1:1で混合した液体は、強く握ると硬くなりますが、机の上に置いておくと液体のように流れます。こうした性質をダイラタンシーと呼び、これは、非ニュートン流体の一種です。つまりダイラタンシーを持つ物体は速い外力に対しては固体のように応答し、ゆっくりした外力に対しては液体のようにふるまいます。
高速な外力に対して硬くなることから、急な衝撃に対しては強いと考えられ、これを防弾ベストなどに利用する試みもあります。
もともとdilatantは“膨張する”という意味で、粉体を分散した液体に圧力をかけると膨張するという、一見奇妙な現象に由来しています。濡れた砂浜を歩くと、体重をかけた部分が乾いたように見えることがありますが、これは圧力をかけたことで膨張して砂粒の間の空隙が増し、表面の水が吸い込まれたことによります。

ページの先頭へ

チキソトロピー

もともとは固体のように見えるのに、かき混ぜたり振ったりするなどのせん断応力を与え続けると粘度が低下して液状になり、応力を除くと徐々に粘度が回復して元に戻るという性質をチキソトロピーと言います。日本語では揺変性(ようへんせい)。

図

たとえばペンキは、かき混ぜて塗るときには粘度が低くて作業性が良好で、壁に塗った後はすぐに粘度が上がって下に流れないようになっています。これはペンキにチキソトロピーの性質を持たせているからです。
自然界にもチキソトロピーの例は多く、ある種の粘土は水を含むとチキソトロピーを示します。手足を動かせば動かすほど粘度が下がって沈んでしまう底なし沼がこれです。
チキソトロピーは時間依存性があって、一定の応力を受け続けると粘度が低下し、応力を除くと徐々に粘度が回復していくものを指します。
強いせん断応力を受けると粘度が下がる性質を擬塑性といいます。これは厳密にはチキソトロピーとは異なりますが、塗料やペーストの化学工業の現場ではこちらも含めて広くチキソトロピーまたはチキソ性と呼んでしまうことが多いようです。

ページの先頭へ

稠度(ちょう度)

稠度(ちょう度)試験とは、材料の硬さを測定する方法の1つです。
試験方法はJIS K2220に規格化されており、規定円すいを試料中に貫入させ、その深さにより試料の硬さを表します。稠度の値は、
1/10mmが稠度1になります。
数字が大きいほど柔らかい材料で、針入度試験よりも更に柔らかい材料を測定する際に用いる方法です。

ページの先頭へ

低分子シロキサン

分子量の小さいポリシロキサンですが、特に環状シロキサン、 (CH3)2Si-O- ジメチルシロキサンユニットが環になった化合物を指します。
環状3量体(D3)はヘキサメチルシクロトリシロキサン、沸点134℃
環状4量体(D4)はオクタメチルシクロテトラシロキサン、沸点175℃
環状5量体(D5)はデカメチルシクロペンタシロキサン、沸点210℃
シリコーンポリマーの原料なのでシリコーンゴムなどの製品には少量が含まれていることがありますが、沸点の低いD3などはほとんどの場合、揮発してしまっています。シリコーン製品が電子機器に使われた場合、蒸気が分解して接点不良の原因となる可能性があります。

環状ポリシロキサン(D4)

ページの先頭へ

伝達率(dB)

精密機器などを防振材で支持した場合、基礎の振動が機械に伝わる割合を振動伝達率τといいます。伝達率を表すためdB値がよく用いられています。

τ : 振動伝達率
a0 : 基礎の強制変位(または速度、加速度)
a : 機械の変位(または速度、加速度)

例えば振動の伝達率(τ)が2であった場合、dB表記では6dBとなります。 伝達率が10倍になる毎にdB値は20ずつ増え、1/10になる毎にdB値は20ずつ減ります。

<τ-dB換算表>

τ dB値 τ dB値
1 0dB 0.5 -6dB
2 6dB 0.1 -20dB
10 20dB 0.01 -40dB
100 40dB    
ページの先頭へ

透磁率

透磁率とは材料の磁束の通りやすさ (磁化のしやすさ) のことをいい、電磁波吸収用途においては、磁気吸収性を評価する一つの基準となります。
物質が磁気の作用する空間 (磁界) に置かれると、多かれ少なかれ磁気を帯びて磁石となります。このとき、磁界の強さを強めると物質中の磁束密度 (磁石としての強さを表す) も比例して大きくなりますが、この際の変化率のことを透磁率といいます。透磁率が高いと磁束密度が大きくなる、すなわち物質中を通る磁束が増えて磁石としての強さが増します。
一般的には、透磁率より比透磁率 (物質の透磁率と真空の透磁率との比) がよく用いられています。アルミニウムなどの比透磁率が低いものは、物質中に磁束がほとんど通らず簡単に突き抜けてしまうため磁気の吸収率が低くなります。これに対してフェライトなどの比透磁率が高いものは、物質中に磁束が通りやすいため磁気の吸収率が高くなります。

ページの先頭へ

伝導伝熱

固体の物質を構成している1つ1つの分子運動により、固体内部を熱が移動し、熱が伝わっていきます。
この熱の伝わり易さを表すのに、熱伝導率が使われます。
CPU等の発熱を放熱フィンに伝える場合が、この熱伝導に当たります。

ページの先頭へ

対流伝熱

空気,水等の流体の分子の動きで、熱を伝える方法です。
ファンにより、CPUや放熱フィンの熱を逃がす場合に当たります。

ページの先頭へ

電磁波

空気中は目に見えなくても電気の力が働いており、これを電場と呼びます。
また、磁気の力もやはり働いており磁場と呼びます。
この2つの場は互いに深く影響し合い、電場の変化は新しい磁場を作り、変化する磁場は新しい電場を作り出します。
電場と磁場が、共に関わって発生する波が電磁波です。
電磁波には周期があり、一秒間に何回波の振動が繰り返したかという数を周波数といい、単位はヘルツ(Hz)です。
高い周波数の波、つまり短い周期で振動する波ほど直進性が強くなるなど、電波の性質は周波数によって異なります。
電磁波には周波数の高い順に、ガンマ線、X線という電磁放射線の仲間、紫外線、可視光線、赤外線といった光の仲間やマイクロ波、電波があります。

ページの先頭へ

電磁波が生活に与える影響

電磁波の中で、周波数が3,000GHz以下のものを電波といいます。
電波は私たちの身の回りで広く利用されています。
放送や通信をはじめ、気象予報や航空機,船舶のレーダ,家庭電気製品,医療,工業,建設など様々な分野に広く利用されています。
従って、電波の人体への影響が心配されます。
ガンマ線やX線の様な周波数の高い電磁波は人体に影響を与えますが、電波が影響を与える証拠になる結果は出ていません。
人体以外への影響ですが、最近の医療機器や精密機械には、たくさんの電子回路が内蔵されていて、体に全く影響がないような弱い電波でも影響を受けることがあります。

ページの先頭へ

電磁波の影響を防ぐ方法

エレクトロニクスの技術革新に伴って、電磁波ノイズ(不要電磁波)による電子機器の誤作動などの電磁波障害が問題となっています。
不要な電磁波を遮断する技術としては反射と吸収がありますが、一般的には導電率の大きい金属素材で、電磁波を反射させる方法がとられます。
但しこの方法では、反射した電磁波が他の機器へ悪影響を及ぼしたり、装置内部からの電磁波を外に漏れないように反射させると、反射した電磁波が装置内部で装置自身に悪影響を及ぼしてしまいます。
従って、他の機器・装置自身への反射波の影響を考慮すると、電磁波を反射させず吸収して遮断する技術がより効果的です。

ページの先頭へ

電磁波防護材の選定方法

1. 外部からの電磁波のみを防ぎたい場合
一般的に防ぎたい電磁波は、広範囲の周波数に広がるため、その周波数帯の中心近くを反射又は、吸収できる防護材を選定します
2. 機器内部から電磁波が、発生して外部への影響を防ぎたい場合
反射効果のみ強化すると、内部の回路間の干渉が起きやすくなるため、反射波を吸収する吸収体も複合したものを、選定する必要があります。
ページの先頭へ

伝導率=a/a0

a0:基礎の強制変位または速度、加速度
a:機械の変位または速度、加速度

ページの先頭へ

天然ゴム

イソプレンCH2=C(CH3)CH=CH2、 2-メチル-1,3-ブタジエンのcis型-1,4重合体からなる高分子量の組成物で、熱帯に産するゴムノキの樹液から得られます。

合成ゴムが作られて100年ほど経ちましたが、いまだに天然ゴムはきわめて重要な工業原料です。天然ゴムは毎年約1200万トンが生産されており、これは合成ゴムと合わせたゴム全体の45%に相当します(2015年の国際ゴム研究会発表データより)。主な原産国はマレーシア、インドネシア、タイなど。
主要な用途は自動車のタイヤで、およそ70%以上の天然ゴムがタイヤに使われています。物性の特徴は機械的強度が大きいことのほか、耐寒性がよいことなどバランスが取れています。ASTM(アメリカ材料試験協会)による略号ではNR。
天然ゴムは南アメリカ原産のゴムノキから水に分散した樹液の形(ラテックス)として採れるものでcis(シス)型のポリ-1,4-イソプレン構造をしていますが、同じ天然由来のポリイソプレンでもアカテツ科の木からとれるガタパーチャ(グッタペルカ)はtrans(トランス)型のポリ-1,4-イソプレンで、天然ゴムよりも固く弾力が少ないものです。天然ゴムの柔らかさは、シス型であることで分子が折れ曲がった構造を取り、分子間力が小さくなることにもよっています。

石油から得られたイソプレンを重合させることで、天然物ではないポリイソプレンを得ることができます。こうして合成されたシス型のポリ-1,4-イソプレンは、シス構造の割合が低いことなどから長らく天然ゴムほどの強さが出ない、とされてきました。しかしながら近年、ガドリニウム触媒を用いることで、100%シス型のポリマーが得られるようになり、天然ゴムと同等の物性をもつことが示されました。
なお、ゴムという言葉の元になっている英語のgumは、アラビアゴム、グアーガムなどというように、もともと植物からとられた水溶性の粘性のある物質を指していましたが、天然ゴムが広がってからそれらは特に水溶性ゴムと言われるようになりました。
・天然ゴムの簡単な歴史
1493年 コロンブスが新大陸からゴムをヨーロッパに持ち帰る。
1735年 ラ・コンダミーヌがゴムの産業的利用を提唱。
1770年 プリーストリーがゴムで字を消せることを発見。
以後、ラバーRubberという呼び名が定着。
1826年 ファラデーが化学構造式C5H8を決定。
1839年 グッドイヤーが加硫法を発見。