参考になる!なる!モデル成功事例レポート

連載 その3

2008年5月24日
「地域ぐるみで取り組む褥瘡対策セミナー」参加
船橋市立リハビリテーション病院 
褥瘡対策委員会 委員長 石原 健さん

船橋市立リハビリテーション病院の「チームアプローチ※による褥瘡管理」を取り上げた連載の3回目です。 これまでは、院内の体制と院内セミナーの意義、その成果の検証について現場のリアルな状況をお伝えしてきました。
最終回となる今回は、褥瘡対策委員会委員長の石原健さんに総括していただきました。

※チームアプローチとは・・・医師や看護師、ケアワーカー、理学療法士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士など患者さんを取り囲む全てのスタッフがチームを作り、医療を行う方法です。

個々のスキルアップがチーム力に

取材当日行われていたタイカによる
院内セミナーの様子。
今回のテーマはポジショニング技術について

「スタッフ一人ひとりのスキルアップが、波紋のようにつながっていってほしいという期待が、セミナーを導入している理由なんです。 チームアプローチを成功に導くためには、スタッフ全員の知識や技術が同じレベルで高まっていくこと(ベースアップ)が重要で、そのためには、繰り返し行うことが大切だと考えています。 例えば、スタッフ全員がセミナーでポジショニングを定期的に学んでいけば、正しく認識しなければならない部分が“院内の共通認識として”備わっていきます」 院内セミナーを通じて得られる個々のスキルアップがチームのスキルアップにつながり、それが院内全体のスキルアップへつながる。 石原さんのお話はとてもわかりやすいですね。

セミナーでの体感が知識とつながり納得へ導く

開院してまだ1年半の新しい病院のため、新卒など経験の浅いスタッフも多く、新しい病棟の開設を控えた来年には、さらに多くの新しいスタッフが入職する予定です。 「ウチのスタッフは学校の教科書ベースの知識しか持たずに入職してくる人も多いので、タイカさんの現場を想定した実践的なセミナーはスタッフの理解度を高めるのに効果的です。 セミナーを受けると、教科書の知識だけでは実践に役立たないということがわかってくるんですよ」と石原さん。 「例えば、後ろから引っ張りあげて介助する『座り直し』がなぜいけないのかということも、体感するからこそ理屈がわかります。 そういう視点からもセミナーの意味は大きい」と語ります。
「褥瘡の勉強会を企画した当初、自分たちでやろうという話もあったんですが、準備に不慣れだったり、スタッフが指導をしても説得力がなく、 また講師を任せられるほど詳しいスタッフもいなかったので、いきなり暗礁に乗り上げました。 今は、タイカさんに非常にいいカタチでセミナーを支援してもらっています」   「経験が浅いスタッフが多いため、院内全体のスキルを理想まで引き上げるには、何年かかけてカタチにしなければならない」と石原さんは覚悟しています。 「そのためにも今後は『アドバンスコース』の必要性を感じています。 一年目に受けたものよりさらに一歩踏み込んだ内容のセミナーを提供しないといけません。 これはタイカさんと話し合って、常に刺激のある内容を心掛けていきます。 マンネリ化が原因で毎回参加者が減り、先細りになり兼ねないですからね。 アンケートも活用して、求められている内容も把握して反映していきたいと思います」

地域での役割を果たしたい

PROFILE
石原 健さん
船橋市立リハビリテーション病院
リハビリテーション科 医師
褥瘡対策委員会 委員長

「褥瘡保有者が各病棟に一人もいない時もありますが、一人二人発生してしまうこともあります。 褥瘡を持ち込む患者さんや、再発する患者さんもいて、なかなかゼロにはなりません」。 それでも以前のように何カ月も治らないという深い褥瘡は見られなくなったそうです。 「褥瘡はもっと減らせると思います。 セミナーの効果で介助技術も改善されていますし、マットレスやクッションの性能もとてもよくなってきましたから」 マットレスは最小限必要な数量を揃え、それを超える場合は早期にリースするシステムを導入し、環境も整備されてきました。
「今後は地域との連携が課題です。 開院間もない病院だけに、スタッフが地域の状況をまだまだ把握できていないのが現状です。 ウチのような回復期病院は、急性期病院と在宅との中継点的な位置にありますので、急性期病院で担えないところはウチが補わなくてはなりません。 障害がある人ほど褥瘡ができやすいわけですから、在宅にいるそういう方をどうフォローしていくか、他の地域の成功事例を参考にしながら、地域との連携体制を確立していきたいと思います。 まずは、多くの患者さんを治療し、退院後の指導をしっかり行なうことが、地域に情報を定着させる最初の手段だと考えています」